下田には関西から移り住んできた、野人と名乗る人がいます。
下田の暮らしを楽しみたくて一眼レフを買ったそう。
彼は「なんで下田は長年いても飽きへんのやろ?
そんな町、そうはないと思うで」としきりに言うのです。

「下田は海しかないなんてちゃうやろ」と。
「この町の良さを見せてあげたいと思うんや」と。

ならば彼の目に映る下田を紹介してもらおう、ということになりました。
気がつきそびれてるものに、光を当てて。
懐中電灯役のカメラと一緒に、下田を探し歩きます。

>野人さんのプロフィール

#006

真っ赤な花は恋の色?

真っ赤な花は恋の色?

あれは小学6年生の卒業式の時やった。
新設小学校の第1期生、しかも名簿であいうえお順の「い」で始まる僕は、全卒業生男子代表で卒業証書をもらうことになってしもた。
で、で、女子代表は「あ」の付くあの子。
初恋の人や! あ〜恥ずかしー!!!
ふたりは卒業証書と花束を受け取ったんやけど、彼女はその花束の中の赤い薔薇を抜き出して持って帰らはった。
それから何かにつけ、赤い花を見るとあの頃の彼女の顔が脳裏を横切るんやー

気づけば僕は59歳。
来年4月で、もう還暦や!
赤いちゃんちゃんこやんかー
あの卒業式から48年も経とうとしとるんか!!
嘘やろー、なんて思いながら街中を自転車で走っていて、息をのんだ!!!

「うゎっ!赤い花や!」

それもこんなにぎょうさん、火事みたいに燃え立つような花の姿や!
あっ、またあの子の顔が・・
この花のインパクトで鮮やかに思い出したでー
どこぞで元気にしてはるやろか?

自転車漕ぎ漕ぎ、なんとなく胸のあたりがドキドキするわー
これはもしかして・・・ こ・い・の・よ・か・ん!!!

何か、ひとりで盛り上がるわー
後で、この花が「ブーゲンビリア」だと知ったんやけど、別名は「魂の花」やそうや!

野人! どーうする?
還暦で恋か?
この花を見て、野人のにやつく顔が目に浮かぶでしょう?

さて、僕は、花咲か爺さんになれるかな?

2022-07-10

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