時は幕末、下田の港にはペリー提督率いるアメリカの黒船の艦隊が来航しました。そしてこの地、下田で日米和親条約付属 下田条約が結ばれ、開国の1ページの舞台となったんです。
下田の歴史を代表するのが、幕末の黒船来航です。下田には他にも後世に語り継がれている歴史がたくさんあります。なかには歴史の教科書で見たことのある名前も出てきます。どこかレトロな雰囲気の漂う、下田の町並みを、歴史を振り返りながら散策してみませんか?
下田の町で見ることのできる、歴史にちなんだあれこれを、簡単にご紹介します!
1. 伊豆急下田駅の黒船の模型
下田の玄関口、伊豆急下田駅のバスターミナルの一角には、大きな黒船の模型があります。この黒船の名前はサスケハナ号。サスケハナ号は、ペリー提督率いる黒船艦隊の中でも一番大きな黒船だったそうです。下田では毎年5月に黒船来訪、開国の歴史を記念して黒船祭が行われますが、黒船は、下田の歴史を語る上で重要なキーワードになっています。
まずは下田駅のこの黒船の模型の前で、記念撮影をしてみてはいかがですか?
2. 稲田寺 … お吉の恋人鶴松の眠るお寺
伊豆急下田駅から南へ2分程歩くと、稲田寺(とうでんじ)というお寺があります。このお寺には、下田の歴史に登場するお吉(おきち)という女性(後述)の恋人である鶴松という人のお墓があります。お吉は当時江戸幕府に命じられ、下田に黒船で来訪していたアメリカの総領事、ハリスに仕えた芸妓さん。仕えた期間は3日間ほどと言われていますが、当時の人たちからは唐人(とうじん)として偏見の目と罵声を浴びせられたようです。お吉は苦悩の生涯を送って、51歳の時に下田の稲生川にて溺死してしまった悲劇の女性です。
「唐人お吉」。映画や本にもなっているので、ご存知の方も多いのでは?
また稲田寺には、下田市の指定文化財である阿弥陀如来坐像も安置されています。像高208cmもある大きな仏像で、当初は漆箔が施されて金色に輝いていたと言われています。やや形式化した造形から平安時代末期の作品と考えられています。
稲田寺
- 下田市一丁目14-5
- 0558-22-3085
- 境内見学無料です。
3. 宝福寺 … お吉と坂本龍馬の歴史が眠る寺
勝海舟の足跡
またこのお寺には、勝海舟(かつかいしゅう)と当時の土佐藩主、山内容堂(やまうちようどう)の足跡をみることもできます。嵐のせいで下田に寄港していた山内容堂に、勝海舟が坂本龍馬の土佐藩脱藩の罪の許しを願い出たとされる謁見の間が残されていて、見学することができます。
宝福寺
- 下田市1-18-26
- 0558-22-0960
- 境内見学無料
- お吉記念館は入館料 300円
- 8:00 ~ 17:00 無休
- 駐車場 15台
4. 開国の舞台となったお寺、了仙寺
下田駅から徒歩 7~8分、マイマイ通りの突き当たりにあるのが了仙寺(りょうせんじ)。黒船に乗って下田にやってきたペリー提督一行は、ここ了仙寺で日米和親条約付属下田条約を結ぶことになります。週末になると、たくさんの観光客のみなさんが訪れるお寺です。下田の人気スポット、ペリーロードの終点でもあります。
5月になると了仙寺の境内はアメリカジャスミンの花が咲き誇り、いい香りとともに目を楽しませてくれます。
貴重な歴史的資料の眠る宝物館
了仙寺の境内にある宝物館には、歴史的にとても貴重な品々が数多く展示されています。古い歴史的な資料と聞くと、面白みがなさそうですが、当時の資料の多くが絵などで残っています。きっと退屈するどころか、とても楽しく見て回ることができると思います!
了仙寺
- 下田市三丁目-12-12
- 0558-22-0657
- 境内見学無料
- 宝物館 500円
- 8:30 ~ 17:00
5. 歴史かおる街角 ペリーロード
伊豆急下田駅から10分ほどのところにある、柳並木が立ち並ぶ石畳の小径ペリーロード。下田条約締結のために下田に入港したペリー提督が、了仙寺まで歩いたとされ、こう名付けられました。平滑川に沿って700mほど続くペリーロードには、幕末から明治、大正時代にかけて建てられた石造りの蔵やなまこ壁の商家を利用したレトロな骨董屋やカフェなどが建ち並び、どこかレトロで異国情緒が漂います。多くの観光客のみなさんが集まる下田の町中の人気のスポットになっています!
6. ペリー艦隊上陸記念碑
1854年、条約締結により即時開港となった下田に、黒船ペリー艦隊が次々と入港しました。その時にペリー艦隊乗組員が一番始めに上陸したのが下田公園下にあるこの記念碑のあたりだったそうです。
下田の港を望むこの場所は、ペリーロードからも近く、海からの風も気持ちよくて散策コースにはぴったりです。ここから港の海岸線を歩く遊歩道、ベイサイドプロムナードを散歩してみてはいかがですか?
7. 安直楼 … お吉が営んでいた料亭
苦悩の生涯を送ったお吉は明治15年より料亭を営んでいたと言われています。その料亭、安直楼(あんちょくろう)があったのがペリーロードからほど近いこの建物。独特の格子柄は下田ではよく見かけるなまこ壁と呼ばれるもの。安直楼はお吉没後もお寿司屋さんとして使われていたそうです。この建物は下田市の歴史的建造物(史跡)に指定されています。
安直楼
- 下田市三丁目5-21
8. 黒に白の碁盤目が斜めに交差する美しいなまこ壁
下田の町中を散策していると、黒地に白い碁盤目が斜めに交差した模様の壁をあちこちで見かけることができます。この美しい模様の壁はなまこ壁と呼ばれています。防火、防湿のために土壁に平瓦をはめ込み、継ぎ目に漆喰を盛り上げて固めた造りになっています。自然の脅威から家を守る先人の知恵ですね!漆喰の形がなまこに似ているところからなまこ壁と呼ばれるようになったそうです。港町らしいネーミングですね。
下田には美しい瓦屋根となまこ壁の町並みが広がっていますが、現在はその多くが多額の維持費のため、減少の一途にあります … 少し残念ですね。
こんな風に下田の町中には、たくさんの歴史にちなんだ建物や資料が残っています!