金栄堂

KINEIDO

夫婦で作り出す下田ならではの和菓子

みなと橋のたもとに営む金栄堂。
とことん下田と和菓子の融合を追求する。
どこよりも港町下田を強く感じられる和菓子店。

伊豆急下田駅のすぐそばを流れる稲生沢川。
その下流付近には何隻もの船が停泊していて、いかにも港町らしい景色を臨むことができます。
その川にかかる橋のちょうどたもとにあるのが、<金栄堂>という和菓子屋さん。
立派な店構えに惹かれ、ついつい中をのぞいてみたくなります。

外観

このお店を切り盛りしているのは金栄堂の三代目となるご主人、土屋善昭さんと奥様の貞子さん。
店の奥にある作業場へおじゃますると、ちょうどお饅頭のあんこを包んでいるところでした。
馴染みのお客さんから注文をいただいたそうで、朝からせっせとお二人で蒸し上げていたのです。
丁寧に炊いたあんこを、ひとつずつ手作業で包んでいきます。
「二人しか手がないからね、あんまりたくさんは作れないんですよね。」
お店で販売しているお菓子は、すべてこうしてお二人の手で作られたもの。
シュッシュッと音を立てる蒸気と共に蒸し上げられたお饅頭は、ふっくらツヤツヤでいかにも美味しそうです。

作業風景2 焼入れ あんこ

金栄堂が創業されたのは大正7年、再来年で100年を迎える老舗の和菓子屋さんです。
「二代目になる父親がとても几帳面で、お菓子の作り方を細かく書き残してくれていたんだよね。」
あんこの炊き方も、詳細に記されていたのだそう。
そうした先代から受け継がれてきた老舗の味を大切にしながら、少しづつ変えていくことも必要だとご主人は話します。
「これでいいって満足しちゃだめだよね。勉強し続けないとね。」
そうした日々の試行錯誤から生まれているのが、金栄堂ならではのお菓子の数々。
たとえば<よあけまん>というお饅頭。
このお饅頭はいわゆる酒饅頭ではあるのですが、使っているお酒にその特徴があります。
下田の日本酒好きが集まり、地元のお米を使用して静岡にある蔵元に仕込んでもらったお酒<黎明>。
使用されているお米は、減肥減農薬の有機米というこだわりの日本酒です。
その黎明をふんだんに使用したのが、このよあけまん。
水を一切入れず黎明のみで仕上げた贅沢な酒饅頭は、口に入れた瞬間華やかな香りが広がります。

よあけまん、一個150円。

よあけまん、一個150円。

種類豊富などら焼きにも、金栄堂ならではの個性が見受けられます。
一般的などら焼きの横に並んでいるのは、<開国どら焼き>や<海の塩バターどら焼き>という見慣れないもの。
これらのお菓子にも、下田ならではの秘密が隠されているのです。
開国どら焼きには、地元の柑橘を使用した自家製マーマレードがはさまれていて、和と洋の意外な掛け合わせが楽しめます。
海の塩バターどら焼きは、地元下田高校の生徒と一緒に開発したものなのだそう。
下田にある外浦海岸の塩を使用して、こちらも洋の要素であるバターをはさんだ珍しいひとしな。
そのほかにも地元の紫芋を使った<紫芋パイ>や、下田でとれたワカメを入れた<めざしクッキー>など。
地元の特産物を使ったお菓子は、この金栄堂の特色と言えます。
凛とした店構えとは少し印象の違う、風変わりなお菓子が並んでいるこの金栄堂。
その謎は、ご主人が地元を思う気持ちにありました。

開国どら焼き(左)海の塩バターどら焼き(右)各180円。

開国どら焼き(左)海の塩バターどら焼き(右)各180円。

初代から受け継がれてきた焼き印からは、100年という歳月の重みを感じます。

初代から受け継がれてきた焼き印からは、100年という歳月の重みを感じます。

「下田らしい食材って、まだまだたくさんあるんですよね。」
金栄堂の個性をあげるとすれば、地元の特産品をうまく和菓子に取り入れていること。
自分には、先代から培ってきた和菓子を作り出す技術がある。
地元の生産者さんと協力しながら、下田らしいお菓子を生み出していきたいと話します。
生産者さんが元気になって、下田がもっと魅力的な場所になること。
そうすれば、地元に若い人たちも戻ってくるはず。
それがお菓子を通じて叶えたいご主人の願いなのです。
「下田は海も山もあって、食べものも人も豊かなんです。」
生まれも育ちも下田、生粋の下田っ子のご主人。
下田が好きですか?という問いに、照れながらも「好きですよ」と。
再来年で100年を迎える金栄堂。
和菓子に隠された地元への思いが、下田というまちを照らし続けています。

店主と女将さん2
紫芋パイ(左)かぼちゃパイ(右)各160円。

紫芋パイ(左)かぼちゃパイ(右)各160円。

下田でとれた若布を入れた<めざしクッキー>。9枚入り550円。パリッとした食感と、ほのかに漂う磯の香り。下田土産にぴったりなひとしなです。

下田でとれた若布を入れた<めざしクッキー>。9枚入り550円。パリッとした食感と、ほのかに漂う磯の香り。下田土産にぴったりなひとしなです。

どら焼き(左)黒ごまどら焼き(右)各180円。

どら焼き(左)黒ごまどら焼き(右)各180円。

和栗のモンブランどらやき 230円

和栗のモンブランどらやき 230円

せっかくだからいい栗を使いたい、と和栗にこだわった新作。 なめらかな和栗ペーストの風味とあんこがたまらなく美味しいひとしな。  

金栄堂- KINEIDO -

住所:静岡県下田市武ガ浜2−33
電話:0558-22-0350
営業時間:8:30 〜 18:00
定休日:不定休

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