上原美術館

近代館と仏教館


静寂の中で心を整える


上原美術館めぐり

下田市宇土金341

January 2026
文と写真:あずみ

文と写真:あずみ
記事公開日:2026/02/10

下田の静寂の中でアートに深呼吸


下田駅から車を走らせること約15分。目的地は市街地から少し離れた、静かな山間に位置する上原美術館。大正製薬名誉会長ゆかりの地でもあるこの場所は、西洋・日本の近代絵画を収蔵する「近代館」と、仏像や古写経を公開する「仏教館」という、趣の異なる2つの建物で構成されています。

日枝神社や達磨大師がすぐ隣にあるおかげもあり、美術館の周りには心地よい空気が流れていて、歩くだけで背筋が伸びるような気持ちになります。

というわけで今回は、1月の3連休に家族で上原美術館へ行ってきた様子をレポートします!



写真正面が受付のある近代館、右が仏教館。

写真正面が受付のある近代館、右が仏教館。



まずはチケットを購入


近代館の扉を開けると、スッキリとした清潔感のあるフロントが迎えてくれます。スタッフの方々の対応がとても丁寧なので、ハードルが高いと思われがちな美術館を、身近に感じさせてくれる温かい雰囲気がありました。

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ここで「近代館」と「仏教館」両方の共通チケットを購入。各種割引が適用されるので、当てはまるものがあるか事前にご確認ください。

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受付付近には様々な情報が掲示されているので、先にチェックしましょう。娘はクリップボードと紙、鉛筆を借りられるという情報を入手し、早速レンタルしていました。館内の展示には詳しく説明が書かれているものが多いですが、より詳しく作品について知りたい方には「ポケット学芸員」の利用がおすすめ。Wi-Fiが無料で使用できるのも嬉しいポイントです。

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まずは洗練されたモダンな建築の近代館へ


今回開催されていたのは、「印象派をたのしむ 上原コレクションのちいさなまなざし」という企画展(現在は終了)。「ちいさなまなざし」という言葉の通り、有名なモネやルノワールの絵が、コレクターや鑑賞者、画家自身の「ちいさなまなざし」をテーマに紹介されています。

近代館の展示室に入ると、天井が高く広々とした空間が広がっています。 都会の美術館のように混み合うこともなく、一つひとつの作品が距離を置いて凛と飾られているのが、この美術館の贅沢なところ。

作品との間に「ゆとり」があるおかげで、周りを気にせず自分のペースでじっくりと絵に向き合え、解説文も十分に読み込むことができました(いつもは読み飛ばしがちなんですけどね)。小4の娘もこの静かな空間を楽しみながら、お気に入りの絵を見つけ、熱心にメモを取っていました。

いただいた紙にお気に入りポイントを書く娘。

いただいた紙にお気に入りポイントを書く娘。



今回の展示で特に惹かれたのは、モネやシニャックの作品です。 印象派と言えば絵の具を混ぜずに隣り合わせに置く筆触分割ですが、近くで見るとバラバラの色の点なのに、少し離れると色が混ざり合い、鮮やかな景色に見える。とある教科書で紹介されていた描き方を間近で見られるのが嬉しく、また、印象派の画家が「なんてことのない日常の風景を素晴らしい絵画として完成させる天才」であると改めて気付かされます。

ポール・シニャック『アニエール、洗濯船』(1882)。

ポール・シニャック『アニエール、洗濯船』(1882)。



クロード・モネ『藁ぶき屋根の家』(1879)。

クロード・モネ『藁ぶき屋根の家』(1879)。



また、今回は画家同士の交流についても深く紹介されていました。 例えば、シニャックは、面識のないモネに何度も手紙を書いたり、印象派展で模写をしているところをゴーギャンに怒られるなど、なんとなく身近に感じられるようなエピソードが満載。モネとルノワールが並んで同じキャンバスを広げ、年長のピサロを慕って若い画家たちが集まる。当時のフランスの一部を垣間見れたような時間でした。

また、奥の展示室では須田国太郎が描いた下田港の風景画を見つけました。「ああ、これは大川端(昔の言い方だと『かしっぱた』)のあたりの風景かな?」と、その存在感に見入ってしまいました。地元の風景が描かれていることも単純に嬉しかったです。

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須田国太郎『下田港』(1957)。

須田国太郎『下田港』(1957)。




ソファのある心地よいラウンジで一休み


近代館には、外の光がたっぷり入る開放的な休憩スペースがあります。のんびりと外を眺めながら、鑑賞の後の余韻に浸ることができますよ。

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窓からの景色もアートです。

窓からの景色もアートです。





趣の異なる仏教館へ


休憩でリフレッシュしたあとは、雰囲気がガラリと変わる「仏教館」へ足を運びます。 扉が開くと、そこには明治から昭和の時代に制作された130体もの仏像がずらり。圧巻の光景に、思わず「おお!」という声が漏れてしまいます。入口を守る2体の金剛力士像は迫力満点。

扉を開けると真っ先に目に飛び込んでくる「釈迦三尊と四天王」。

扉を開けると真っ先に目に飛び込んでくる「釈迦三尊と四天王」。



館内に整然と並ぶ仏像たちに囲まれ穏やかな気持ちになれる、不思議な空間です。

仏像には詳しくないので、館内のパンフレットを片手に鑑賞。すると、「なるほど!」と思うことが多く、新鮮な驚きの連続でした(菩薩は如来を目指している、など)。中には十二支をモチーフにした仏像などもあり、「これ私の干支だ!」なんて、娘とお気に入りを探すのも楽しい時間でした。仏像の造形は個性的で、眺めているだけでも色々な発見がありました。

すぐに飽きてしまうのではないかと思われた娘でしたが、意外にもじっくりと一点一点に見入っていました。普段は聞きなれない、難しい漢字の名前を見つけることも楽しかったようです。偶然娘と同い年くらいの男の子がいたのですが、アニメの影響なのかテンション高く見て回っていたのが微笑ましかったです。(阿修羅〈あしゅら〉や迦楼羅〈かるら〉や矜羯羅童子〈こんがらどうじ〉…つい覚えたくなっちゃいますよね!)

ぜひ皆さんもお気に入りの仏像を見つけてみてください。ちなみに私は千手観音像が好きです。手がたくさんあってカッコいい!(単純)

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奥の展示室では特別展「伊豆のみほとけ」が開催されていて(現在は終了)、伊豆地域の方々の特別なご厚意で、普段は見られない「みほとけ」たちが集合。今回の企画展のメインビジュアルとなっている「十一面観音像」は南伊豆の入間で発見され、なんと寺以外では初の公開だったそう。貴重な仏像が見られるのも企画展ならではです。

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撮影禁止の仏像がいくつかありました。ご注意くださいね。

撮影禁止の仏像がいくつかありました。ご注意くださいね。





上原美術館、本当におすすめ!


今回お邪魔して改めて感じたのは、上原美術館の凛とした空間の美しさと、鑑賞する人への優しい配慮です。

近代館も仏教館も、余計なものを省いた潔い展示が本当に素敵で、作品が一番きれいに見える工夫や、充実した解説、パンフレットなど、至る所に細やかな気配りが感じられました。

館内は他のお客さんがいても気にならないような、穏やかな空気が流れています。日常から少し離れてリフレッシュする時間は、自分への最高のご褒美かもしれませんね。決して広くはない美術館ですが気がつけば2時間以上滞在していました。

皆さんも下田に来たら、ぜひふらっと立ち寄ってみてください。 あの凛とした美しい空間に身を置くだけでも、きっと心が整うはずです!

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訪れる前に知っておきたい安心ポイント


【駐車場】
美術館の坂を降りたところに第一駐車場があります。その先の近代館側にバリアフリーの第二駐車場があります。今回は第一駐車場を利用しました。

坂を登って美術館へ。写真の左側は上原美術館のアトリエ、正面は日枝神社。

坂を登って美術館へ。写真の左側は上原美術館のアトリエ、正面は日枝神社。



【コインロッカー】
近代館・仏教館どちらの館内にも無料のコインロッカーが完備されています。旅行の際は荷物が多いので、身軽になって鑑賞に集中できるのは嬉しいですね。

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【車椅子の貸し出し】
今回、仏教館で車椅子の貸し出しを見かけました。館内はゆったりとした造りなので、ご年配の方や足腰が不安な方と一緒に訪れても安心。

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【おむつ交換】
上原美術館には、おむつ交換台が設置されていますので、小さなお子様連れでも安心してお出かけできます。(授乳室はありません)



ワークショップや教室も開催


上原美術館のファンになったら、教育普及活動にも参加してみてください!私たち親子も参加したことのある親子向けワークショップは気軽にアートを体験できるプログラムとしてとても人気です。美術館鑑賞にはまだ早いかも…という方も、アートに触れる良いきっかけ作りになりますよ。元々お蕎麦屋さんだった場所を改装したアトリエも素敵なんです。

詳細は公式ホームページにて → https://uehara-museum.or.jp/

以上、上原美術館の体験レポートでした!

INFOMATION
上原美術館

上原美術館

    
住所下田市宇土金341
電話番号 0558-28-1228
開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日 展覧会会期中は無休/展示替え日のみ休館
入館料大人1,000円/学生500円/高校生以下無料
団体10名以上10%割引/障がい者手帳をお持ちの方は半額となります
アクセス 伊豆急下田駅からバス約20分+徒歩15分
伊豆急下田駅から車で約15分(駐車場あり)
備考展示期間が終了すると展示替えのための休館日があります。
通常10日ほど休館しますので、ホームページにてご確認ください。
https://uehara-museum.or.jp/

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