洋菓子の中に光る和テイスト
豊かな発想を持つ加藤シェフ。
洋と和が混ざりあった楽しいケーキが沢山。
笑顔が溢れワクワクするお菓子に出逢えるお店。
伊豆急下田駅の近くを流れる稲生沢川。
その川沿いを北上していくと、駅前の喧騒から離れ閑静な住宅街へと続きます。
そんな落ち着いた雰囲気のなかにパッと目を引く一軒の白い建物があります。
ここは「Cakes KANON」という洋菓子店です。
ドアを開けてみると、目の前のショーケースには色鮮やかなケーキがずらりと並んでいます。
イチゴや葡萄など季節のフルーツをふんだんに使った生ケーキがいかにも美味しそうです。
このお店のオーナーシェフ加藤泰志さんは、下田出身の方。
もともとご実家が下田市にある和菓子屋さんだったという加藤シェフ。
東京の洋菓子店で修行を重ねたのち、父親の経営していた和菓子屋さんへと戻りました。
10年間父親と一緒にお店と営んだのち、2013年に独立。
そうしてこのケークスカノンを立ち上げました。
和菓子と洋菓子、両方の世界を経験されている方はなかなか珍しいと思います。
そうした加藤シェフの個性は、ケークスカノンのお菓子の随所に見受けられます。
たとえばショーケースの中には<ケーキ大福>なるものが。
その見た目からは、どんな味がするのかまったく想像がつかないこのケーキ大福。
いざスプーンを差し込んでみると、求肥の下にはシュー皮。
中にはイチゴやカスタードクリームに生クリーム、そしてあんこが入っています。
つまり、イチゴ大福とショートケーキの合体なのです。
一見合わなそうに思える和と洋の要素ですが、口に運んでみるとしだいに調和していくのだからおもしろい。
「一度食べたら美味しかったからって、また買いに来てくれるお客さんも多いんですよ」
たしかに癖になる味わいです。
ケークスカノンの特徴として挙げられるのは、加藤シェフのその発想の豊かさ。
前述のケーキ大福しかり、ほかにも驚くような商品があります。
それは、お店の看板商品でもある<土鍋プリン>。
土鍋を開けるとまず目に飛び込んでくるのは贅沢に配されたフルーツの数々。
そのフルーツの下にはたっぷりの生クリームが敷かれていて、さらに下をすくうと濃厚なプリンとカラメルソースが溢れ出てきます。
「みなさんワッと驚いて喜んでくれますよ。」加藤シェフはそう嬉しそうに話します。
この土鍋プリンには大と小があります。
大のほうは土鍋要返却ですが、小は返却不要です。
そのままご自宅でお使いいただくか、もしくはお店に持って行くと焼きドーナツと交換してくれます。
こうしたアイデアも加藤シェフならではです。
ケークスカノンは、焼き菓子にも特徴があります。
棚にずらりと並んだお菓子眺めてみると、加藤シェフならではの個性が。
地元の塩と海苔を使用した<磯ラングドシャ>や、下田にある麹屋さんのお味噌を使った<田舎味噌マドレーヌ>など、地元の和の素材をうまく取り入れているのです。
口に入れた瞬間、海苔の香りがふわっと広がるサクッとした磯ラングドシャ。
味噌を入れることで、さらに濃くのある味わいが感じられる田舎味噌マドレーヌ。
味噌や海苔などの和の素材と洋菓子が実にマッチしていて、どれもこれもとても美味しいのです。
下田ならではの食材や珍しい素材が使われている焼き菓子は、贈り物としても人気が高いようです。
「友人にケークスカノンのお菓子をもらったら美味しかったので、お店に来てみました」というお客さんもいるのだとか。
「そう言われると嬉しいですよね」と加藤シェフは頬をゆるませます。
「お客さんがここのお菓子を買うことを楽しみに来てくれるんだから、ひとつひとつ大事にていねいに作ろうって思ってます」
新たなアイデアを駆使しながらも、ひとつひとつ心を込めて作られているケークスカノンのお菓子。
次にお店を訪れたら、今度はどんな発見があるのだろうか。
これからのケークスカノンが益々楽しみです。