下田には関西から移り住んできた、野人と名乗る人がいます。
下田の暮らしを楽しみたくて一眼レフを買ったそう。
彼は「なんで下田は長年いても飽きへんのやろ?
そんな町、そうはないと思うで」としきりに言うのです。

「下田は海しかないなんてちゃうやろ」と。
「この町の良さを見せてあげたいと思うんや」と。

ならば彼の目に映る下田を紹介してもらおう、ということになりました。
気がつきそびれてるものに、光を当てて。
懐中電灯役のカメラと一緒に、下田を探し歩きます。

>野人さんのプロフィール

#007

あなたならどっち?

あなたならどっち?

ここを進むとどこに出るんやろ?
「ここ」とは国道沿いの大きな病院の前、コンビニ横の坂道のこと。
スマホで調べようとして、やっぱやめた。

今日は予定もないし、と探検気分で進むこと5分、分かれ道に遭遇!
左にしよか? 右やろか?
はて、どないしよ〜!?と、しばらく足が止まってしもた。
なんとも言えない雰囲気の二股やな〜
右は崖が垂直に削られてるから、古い切通しやな、たぶん。
よく見ると、いくつも筋状の削った跡が残っとる。
崖肌の色といい、もろさ加減といい、イタリアのによー似とるでー
そういえば、イタリアでこの崖と似たようなもんがあったのを思い出した。
そこは、バルバラ―ノ・ロマーノという断崖だらけのちょっと変わった町やった。
古代イタリア民族のお墓を調べに行ったんやけど、崖の側面に穴を開けるという珍しい形状やった。
よう削ったんやなあ、大型テレビぐらいの穴がいくつもいくつも開いとった。

いかん、こういうえらい年月の経過を感じるもん見ると時間が止まった気になるわー
さてさて、どっちに行くか決めな。。
暗ぼったい切通しを進みたいような? 行きとうないような? どこ出るねん?? な〜んか迷うわー

そや、古代ローマ時代からこういう場面はコインの出番や!
ちょうど新500円玉を持っとる。
ユーロ硬貨みたいに2色使いになったなあ。
僕がイタリアに住んでた時代の通貨は“リラ”やったなー、なんてことを思い出しつつ、コインを弾く。

「表やったら左、裏やったら右な!」

キン!と鳴り、手元に戻った500円玉は「裏」を出した。

「今日はとことん探検デーやな。」

コインの結果に背中を押され、切通しを抜けると明るーなって、下り坂を歩くこと2分。

「なんや! 鍋田浜に行く道に出たやんけ!!!」

探検気分のつもりが、よう知った道に出て笑てしもた。
行き当たりバッタリはこういう楽しみがあるねん〜

2022-07-20

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