下田には関西から移り住んできた、野人と名乗る人がいます。
下田の暮らしを楽しみたくて一眼レフを買ったそう。
彼は「なんで下田は長年いても飽きへんのやろ?
そんな町、そうはないと思うで」としきりに言うのです。
「下田は海しかないなんてちゃうやろ」と。
「この町の良さを見せてあげたいと思うんや」と。
ならば彼の目に映る下田を紹介してもらおう、ということになりました。
気がつきそびれてるものに、光を当てて。
懐中電灯役のカメラと一緒に、下田を探し歩きます。
#010
伊豆急線に乗って下田に向かうと、トンネルを抜けるたび南国風の景色になってきよる。
昔、冬場にイタリアのフィレンツェからボローニャに向かう列車がトンネルを抜けた時、
まさに「おお!雪国に変わったでー」という感じやったけど、ここはその真逆やなー。
都会から下田まで来ると、椰子の木があったり、
冬だと真っ赤なアロエの花が天に向かって咲いてたり、
南の海の町を実感できるわー。
トンネルといえば狭い下田の町にもいくつかあるんやけど、
国道136号線沿いに鍋田浜方面に抜けるトンネルが楽し気なんよ。
壁には色とりどりの海の生き物がいっぱい描かれてて、
「これはなんなんやろかー」と足を止めて絵を眺めてしもた。
絵は色あせてきてて、照明も暗めやけど、そのほうがかえって海の中みたいや。
珍しいリュウグウノツカイとかジンベイザメなんかも描いてあって、
どんな生き物がいるか探すのも面白いでー。
塩焼きにすると旨そうな奴はおるかな?と、つい食い気に走るわー
この「トンネル海中絵画館」は地元の子供たちの通学路にもなっている馴染み深いトンネル。
野人的ちょっと見てほしいスポット、ベスト10にランクインやな。
2022-08-20