下田には関西から移り住んできた、野人と名乗る人がいます。
下田の暮らしを楽しみたくて一眼レフを買ったそう。
彼は「なんで下田は長年いても飽きへんのやろ?
そんな町、そうはないと思うで」としきりに言うのです。
「下田は海しかないなんてちゃうやろ」と。
「この町の良さを見せてあげたいと思うんや」と。
ならば彼の目に映る下田を紹介してもらおう、ということになりました。
気がつきそびれてるものに、光を当てて。
懐中電灯役のカメラと一緒に、下田を探し歩きます。
#009
何かええの撮れへんかなー、と下田八幡神社に参拝へ。
初詣の時は、お社に神聖な雰囲気が立ち込めて一年の幸せを願う人々がこの橋を渡ります。
夏の例大祭最終日、この橋はクライマックスの舞台!
本神輿の宮入は熱気ですごいことになっとる仰山の若い衆がこの橋を渡ります。
あの熱い熱い祭りももう2年見れとらんなあ。
文句を言ってもしゃあない。
「お賽銭奮発しますよって、もうそろそろコロナが収まりますよう頼んます」
本日は機嫌よろしゅう野人がこの橋を渡ります。
ふと、鳥居前の池に目をやった。
「はぁー、金魚さんいてはる」
「?」
「おう! 亀がおる!」
松の添木にひっついて、よう滑り落ちんこっちゃ。
気持ちよさそうに甲羅干しとる。
俺も日焼けしたいわー。
それにしてもお社に亀、ほんに縁起もんやなー。
朝からついとる!
まんまんちゃん、あん!※
※京都で、子供が神仏に祈るときに使う言葉です。
2022-08-10