下田には関西から移り住んできた、野人と名乗る人がいます。
下田の暮らしを楽しみたくて一眼レフを買ったそう。
彼は「なんで下田は長年いても飽きへんのやろ?
そんな町、そうはないと思うで」としきりに言うのです。
「下田は海しかないなんてちゃうやろ」と。
「この町の良さを見せてあげたいと思うんや」と。
ならば彼の目に映る下田を紹介してもらおう、ということになりました。
気がつきそびれてるものに、光を当てて。
懐中電灯役のカメラと一緒に、下田を探し歩きます。
#017
よっしゃーっ、いっちょ入ったるかー!
下田に来て8年目にしてようやく入店する「福乃屋」さん。
町中を散策すれば、一度は足を止めてしまう、このごちゃごちゃ感がインパクト強烈や!
ほんま「下田のサグラダ・ファミリア」と巷でささやかれとるのわかるわー
まず何屋さんやろー?からはじまる。
うな重、コーヒー、焼きそば、お汁粉…..
「うん、何か聞こえる?」
「ジャズや!」
店の外にトランペットの調べが流れてるやないか!
これには興味津々!
….せやけど、お汁粉にジャズ?!
店に入ってまた驚き。
靴を脱いで通されたのは座卓が2台ある部屋。
何と説明してよいやら……季節の花が飾られた横にはお多福人形が鎮座し、飼い猫のエサが置かれ、並ぶ譜面台…..あれもあり、これもある。
これはカオスと呼ぶやつやな。。
迎えてくれた御主人は、帽子をかぶり赤いベストに少し派手な服を粋に着こなす方である。
コーヒーを注文して、待つこと10分ほど。
「先ずはこれを」と出てきたのは、あんみつ、特大イチゴ3個、それに緑茶!
待て待て、頼んだのコーヒーと違ったか??
初対面のご老人にどう突っ込んだらええやろと思っていると、「いいの食べて」と御主人。
僕はポカーンとして、御主人は笑ってはる。。
つづく。
2022-10-30