第6話 前編ペリーの饗宴、ハリスの食事~肉の味~
忘れられないイタリアのポルケッタ屋
白く太い牙がニョキと突き出た巨大なイノシシの頭部の剥製が玄関口の頭上を飾る小さな店が、ローマテルミニ駅のホテル街の一角にあります。
昼の3時ごろから、馴染みのタクシーの運ちゃんたちが、ポルケッタ(子豚の丸焼き)をつまみにしながら白ワインをひっかけにやってきます(メニューはこのポルケッタと白ワインしかありません!!!)。
肉は皿ではなく、新聞紙の上にのって出てきます。イノシシの看板で豚を食わせるのは「羊頭狗肉」(猪頭豚肉!?)ではないかと思いますが、豚の味は確かなものでした。
この看板を思い出すと、このローマになぞらえて白ワインで一杯やりたいところです。
ということで、今回は食べ物の話を少し・・・。
黒船船上パーティー
1854年、下田の港内にマシュー・カルブレイス・ペリー(1794年~1858年)一行の黒船は錨を落とし宴会場となりました。
アメリカ側から持ち込まれた肉類では、ハム、牛肉(舌肉なども)、羊肉などがあり、
保存用に加工した大量の魚、それに野菜や果物なども持ち込み、これらを沢山料理して供されました。
どれも日本では珍しいものだったようです。
水戸藩士菊池冨太郎の記録するところでは、「牛肉や牛の舌が第一の味で、甘酢の酒、薄黒い酒を飲んだ」とあります。
出てきたハムや舌肉が、豚だ、牛だとアメリカ人から聞いてどんな反応をしたのでしょうか・・・興味がわいてきます。
上陸した黒船の船員は、時としてこうした慣れ親しんだ肉類がなくなくなると、かわりに海亀を80匹も獲って食べたらしく、亀を捌く絵が残っています。
ハリスのお好み
またタウンゼント・ハリス(1804年~1878年)が赴任したときには、彼の滞在記によると、鹿や猪を手にいれたり、時には雉や山鳥、ウサギなども食べていました。
さらに、牛を屠殺し食事に供しており、柿崎の「玉泉寺」には仏手柑樹(屠牛木)に牛をくくりつけ屠殺した場所が残されています。
ハリスは肉類が好みであったのですが、野菜では大根、人参、牛蒡、瓜、それにとりわけサツマイモが好みであったようです。
果物は、柿、ミカン、梨、葡萄、スイカ、それに栗なども買っていました。
面白いことに、香辛料など使って、カレー料理も供されていました。
インド、東南アジア方面の港に立ち寄った船が、香辛料や地元の珍しい食べものをハリスのもとに届けていたかもしれません。
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