1. 旅先では少しゆっくり過ごしてみる
旅行に出かけると、「あれも見たい」「ここにも行きたい」とつい予定を詰め込みたくなりますよね。
盛りだくさんのスケジュールで旅をした経験は、私にもあります。
でも、せっかく日常を離れて訪れた下田。
あえてゆっくり過ごす時間があってもよいかもしれません。

今回訪れたのは、築約100年の古民家でちりめん細工づくりを体験できる「工房桜子」。
着物のはぎれを使い、一針ずつ針を進めながら作品を作ります。
母と二人で訪れました。
2. 古民家「工房桜子」と「桜子ちゃん」
教えてくださったのは、ちりめん細工歴25年以上の山本さん(桜子ちゃん)。
本名は寿美子さんなのですが、桜のちりめん細工で有名になったことから
「桜子ちゃん」と呼ばれるようになったそうですよ

左・筆者、右・桜子ちゃん
桜子ちゃんがお召しになっているワンピースは、着物をリメイクして作られたもので、
首元にレースがあしらわれた素敵なデザインでした。
おしゃべりが大好きで元気なおばあちゃま。
一方で、針を持つ手は職人そのもの。
25年以上の経験を重ねてきたその手元に、思わず見入ってしまいました。
工房は築約100年の古民家。
玉泉寺の手前にあるので、玉泉寺とセットで訪れるのもおすすめです。
車は玉泉寺の駐車場に停めてください。
訪れた日はまだまだ暑い9月の初めでしたが、玄関に入ると涼しい風が通りました。
部屋の中には、とっても立派な七段飾りの雛人形が。
この雛飾りはなんと桜子ちゃんのものだそうです!ビックリ!
「外国人のお客様が喜んでくれるから飾りっぱなしにしているのよ」と桜子ちゃん。

雛飾りの周りには、桜子ちゃんが作った吊るし飾りがたくさん。
桃の節句の吊るし雛は見たことがありますが、
カブトや鯉のぼりが付いた端午の節句用、桜だけ、ツバキだけの作品もありました。
今回私が作った桜のちりめん細工は、桜子ちゃんが考案し何度も改良を重ねた、
ここだけのオリジナルになります。

桜子ちゃんが着物をリメイクして作った洋服の販売も
ちりめん細工とは、着物など布のはぎれを使って、
花や動物、小物などを作る伝統的な手仕事です。
一枚の布から形を作る、素朴で温かみのある作品です。
初めに作る作品を選びます。
「何が作れるんですか?」
「何でも作れるよ。」とのことでした。
初心者は桜がおすすめということで、針仕事に自信のない私はもちろん桜を選びました。
母も裁縫は久しぶりということで桜にしました。
料金は一人2,000円。
他にも和風小物、きんちゃく、干支の置物等も作れるそうなので、
予約の際に相談してみてくださいね。(作品によって料金と所要時間は異なります。)
予約は電話で受け付けています。
工房は作品の見学だけでもOKです。
3. いよいよ制作開始
ちりめん細工のざっくりとした制作工程です。
②布を選ぶ
③縫い方を教えてもらう
④縫い始める
⑤少しずつ形になっていく
⑥綿を入れる
⑦糸で絞る
まずは生地選びです。
白っぽい色から濃いピンクまで、用意された生地の中から自分が好きな布を選びます。
着物のはぎれを使っているので、生地の触り心地や厚さはまちまちです。
手で触りながら選ぶとよいと思います。
私は白とピンクがグラデーションになっている布を選びました。
母は少し濃いめのピンクの布です。

選んだ生地
縫う工程に入ります。
桜子ちゃんが描いてくれた線の通りに「半返し縫い」をしていきます。
「分かりました。」という母と
「半返し縫い??」という私。
分からなくても大丈夫。
桜子ちゃんが丁寧に教えてくれます。
あとで綿が出てこないように、一目を小さめにとアドバイスをもらい、ここからは針を進めていく時間です。
4. 一針ずつ進める時間、作る過程を楽しむ
縫い始めると
「あ、目が広すぎた」
「今度は狭すぎた」
「線からはみ出ちゃった」
と、なかなか思う通りには縫えません。
一度縫ったら取るのも面倒なので、布に刺すその一針が真剣勝負です(笑)。

そんな私の姿を見たからか?
「ちょっとくらいずれたって大丈夫よ。」
と言ってくれました。
一目進んで、半目戻る。
また一目進んで、半目戻る。
を繰り返していきます。
自然と手元に集中していきます。
しばらく作業してふっと一息ついた時に布を見ると
「ここまで縫い進んだ」という達成感も得られました。
作品にあらわれる自分の性格を見るのも案外面白いものです。
私は、一針ずつチクチク進めていく時間の過ごし方に、なんとも言えない魅力を感じました。
何でもワンクリックでできる時代になって、コスパやタイパがよいことが当たり前で生活している日々。
あえて手縫いでゆっくり作り上げていく時間が、純粋に楽しかったのだと思います。
忙しい日常からちょっと離れたい人にもおすすめかもしれません。
簡単に非日常を感じてリフレッシュできますよ。

桜子ちゃんとの会話も楽しみながら
桜子ちゃんも、
「これミシンで縫ってもいいんだけど、やっぱり手縫いがいいよね。」
と言っていました。
つい没頭してご飯を食べるのも忘れてしまうそうですよ。
5. 完成した作品を飾る楽しみ・使う楽しみ
縫い終わった生地に綿を詰めたり、糸で絞ったり、装飾をつけたり、
その都度丁寧に桜子ちゃんが教えてくれます。

綿を詰めていくにも技が!
約2時間で完成!
ひとつひとつ自分の手で完成させた桜、なんて可愛いんでしょう!
買ったものとはまた違う愛着がわいてきます。
母も久しぶりの裁縫に少し疲れたようでしたが、
「楽しかったね。バッグに付けようかしら。」と満足そうでした。

完成品
作ったあとにどう使うかを考えるのも楽しみのひとつです。
家に帰ったら目につく場所に飾ってみる。
バッグや洋服につけてみるなど。
私は、娘の髪飾りにアレンジしようかなと考えています。

完成品その2
作っている時間を楽しみ、完成した作品を見て楽しみ、そしてこれからの暮らしの中でも楽しめる。
手仕事ならではの魅力だと思います。
6. まとめ
便利で早くて効率的。
そんな毎日に慣れているからこそ、工房桜子で過ごした「針を進める時間」が新鮮に感じられました。
歴史を感じる古民家で、着物のはぎれから自分の手で作った桜の花。
この先も大切に楽しみたいと思います。
ものづくりが好きな人はもちろん、針仕事はちょっと苦手…という人にも。
下田でいつもと少し違う体験をしてみたい人、
古民家の雰囲気を楽しみながらのんびり過ごしたい人にもピッタリです。
ここでしか味わえない「ゆっくり流れる時間」も旅のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

工房桜子
| 住所 | 下田市柿崎30-15 |
|---|---|
| 電話番号 | 0558-25-3304 |
| 営業時間 | 9:00〜17:00 |
| 休業日 | 不定休 |
| 料金 | 2,000円〜 作品によって変動 |
| アクセス | 伊豆急下田駅からバス約8分「柿崎神社前」下車+徒歩2分/伊豆急下田駅から車で約5分(車は玉泉寺駐車場へ) |
| 備考 | ご予約はお電話からお願いします。針と糸を使える方(小学校高学年〜)を対象としています。 |













